極真空手と古式ムエタイ・ムエ・ボーランの意外な関係(2)

さて、ここまでムエタイについて語ってしまったら、武術家として古式ムエタイに触れないわけにはいかないだろう。

中国拳法とムエタイは切っても切れない関係があるというか私はムエタイは中国拳法の一流派だと考えている。空手も中国拳法の一流派だと考えている。そのように考えると武術の発展の歴史は非常にわかりやすくなる。

西洋でオリンピックを中心にボクシングとレスリングが発展したのに対して、東洋では中国拳法が発展したのだ。実にわかりやすくないだろうか。実際、アジアの武術と言うのは中国拳法との比較で考えると、発展の歴史も技術体系も非常に理解しやすいと言わざるを得ない。

正直悔しいが、武術に関してはこれは認めざるをえない。ただし中国が世界の中心であると言う中華主義に関しては絶対に認めないが。

中国拳法とムエタイの間には実に面白い関係があって、これは今まで何度か触れてきたが、中国拳法の他流試合のことを散打という。散打では中国拳法各流派の独自技術が使われることが少なく、その試合は大概ムエタイスタイルになってしまうのだ。これは実践におけるムエタイの有効性を示している。

しかし、所詮中国拳法は実践においてはムエタイスタイルで戦うしかないのかと言われればそうではないのだ。

まず、一見散田ではムエタイスタイルで戦っているように見えるが、各流派で膨大な時間と努力を費やしてきた本物の武術家たちの勁力の出し方はそれぞれ独自のものがある。フィリョがあたかもボクシングスタイルで戦っているようでその内実は空手で戦っていたのと同じことだ。

第二に中国拳法も未だ発展の途上にあるということだ。前の記事で武風林のリングでイー・ロンと言う天才少林拳士がムエタイのレジェンド、ブアカーオに対して中国拳法の技、腰と足を完全に連動させて巻き込むようにローキックを放ちながら、上半身は反対方向に捻り、バックハンドパンチを放つ技を見事に決めて、ブアカーオに大きなダメージを与えた。私はこれを見て本当に興奮した。この技を少林拳で何と言うのか知らない。しかし、蟷螂拳で言うところの七星天分肘と言う技に似ている。七星天分肘と言う技は中国拳法の理想を体現したような技だ。中国拳法の理想とは、「技の威力は体格に頼るのではなく、己は中心立勢を保ち、相手のバランスを崩す。」と言うことだ。

私は命のやりとりをした事はないが、フルコンタクトやポイント制の空手の試合には数多く出場した。また様々な武術の試合の動画を見てきた。その中で印象に残る試合がある。万全の態勢で待ち構えている相手を打撃で倒すと言うのは、これは途方もなく至難の業である。ところが私はバランスを崩した相手に軽い打撃が一撃入るだけで相手が崩れ落ちてしまうと言うシーンを数多く目撃してきた。

コメント