極真空手と古式ムエタイ・ムエ・ボーランの意外な関係(3)

多くの場合、これは無意識的に行われていた。これを意識的に行うために技術体系化したのが、極真空手二台目館長松井章圭館長である。彼の技術解説DVDを見ていて、私は背筋が凍る思いがした。松井館長は対戦相手をコマに例えた。芯が地面に垂直に立って、勢いよく回っているコマを倒す事は至難の業だ。しかし、フェイントやコンビネーションをうまく使って、こつこつと技を決めていく事は難しくない。うまく技を組み立てれば、次第にコマの軸をブレさせることができる。その瞬間に決め技を出すのだ。

松井館長とフィリョが組み手をした動画がある。

松井章圭 vs フランシスコ・フィリォ Matsui Shokei vs Francisco Filho 【極真空手 Kyoukshin Karate】(480P_NAVI_EN_MP4)

本当に流麗で美しい組み手に私は息を飲んだ。あまりにも当たり前のことだが、私が生涯をかけても絶対にたどり着けない領域にいる2人の天才を見て、私は激しい嫉妬を覚えた。フィリョは磯部師範のあまりにもハイレベルな理論に基づいたトレーニングを受けたのみではなく、松井館長の組み手の理論まで、ほぼ完璧に受け継いでいたのだ。

松井館長は、天才武術家であるのみならず、経営者としても有能だと私は思っている。今は極真空手においてはなかなかに受難の時代だ。空手にベースを置く希代の天才キックボクサー那須川天心の登場により、空手のムーブメントは大きく新空手のほうに向かっているように感じる。話はややこしいが、新空手はあくまで極真空手があっての新空手なのだ。極真空手はあくまで伝統派空手があっての極真空手なのであり、伝統派空手はあくまで沖縄空手あっての伝統派なのだ。

沖縄空手→伝統派空手→極真空手→新空手の流れを重視して、それぞれの技法を保存することが日本人武術家の大切な使命だと私は心から訴えたい。

私が提案することは、現役を引退した新空手や極真空手の指導者は自流派を指導しながら、沖縄空手か伝統派空手を学び、その保存に貢献してほしい。

私自身はフルコンタクト空手は自分なりに頑張って修行し、47にして今度は戴氏心意拳を学んでいる。私の目的については別の機会に語らせていただく。

さて古式ムエタイについてだが、まずはとっつきやすい話題から入ると、古式ムエタイの使い手にして映画俳優であるトニー・ジャーの話から入ろうと思う。

トニー・ジャーの映画を見るまで、私は古式ムエタイについて知識的に知るのみであった。トニー・ジャーが映画で見せている技術が正統の古式ムエタイであるとは思えないが、楽しく古式ムエタイについて知る入門編としてはうってつけだと思う。

まず、トニー・ジャー出演の映画をリストアップしておく。武術愛好家ならばカンフー映画とは一味違う殺気みなぎる古式ムエタイの技に魅了されること間違いなしだ。ユーチューブは予告編である。
マッハ! 2004年
トム・ヤム・クン!2006年
マッハ!弐 2010年

マッハ!弐

マッハ!無限大 2015年

映画『マッハ!無限大』予告編

バトルヒート 2015年

映画『バトルヒート』予告編

ドラゴン×マッハ!2017年

SPL 狼たちの処刑台 2018年

『SPL 狼たちの処刑台』特報

イップ・マン外伝 マスターZ 2019年

映画『イップ・マン外伝 マスターZ』≪スペシャル予告映像(本予告)≫

モンスターハンター 2020年

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