総力特集 RIZIN15(13)

忘れることのできないのは、高田信彦とヒクソン・グレイシーの1戦だ。当時学生で金のなかった私はなけなしの5千円をはたいて、ビデオを購入し、永久保存版にした。そして、ワクワクしながらみたが、結果は高田信彦の惨敗だった。マウントポジションからヒクソンは高田の腕を取り、腕ひしぎ十字固めで決着をつけた。あの関節技のスペシャリスト高田信彦が腕ひしぎ十字固めで負けるなんて信じられないし、信じたくなかった。しかし、この試合を見て、私はシンプルな技をどこまでも深く追求する鍛錬することの大切さを感じた。

しかし話はこれでは終わらない。高田のグレイシ一族への挑戦は弟子と言える桜庭和志に受け継がれた。桜庭はグレイシー一族を三連覇し、グレイシー一族最強伝説は終わりを告げた。まさに格闘技の大転換と言える出来事だった。

私は本当に嬉しかった。もともと新日本プロレスに所属していた前田明や高田信彦が新日本プロレスを飛び出して、レスリングの中では非正統派とされ、関節技に集中し、強さだけを追求したカール・ゴッチのアズ キャッチ アズ キャンレスリングを学び、極真空手の打撃技術を取り入れ、UWFやRINGSを立ち上げた。その流れとは別に同じく新日本プロレスにいたタイガーマスク佐山聡はムエタイをベースに投げ技、関節技を取り入れたシュートボクシングを創設した。

日本の近代格闘技の基礎を創設したのが皆新日本プロレス出身と言うのは意外な気がする。というのも新日本プロレスは真剣勝負ではなく、筋書きの決まったショーだったからである。しかし、新日本プロレスの格闘者としての肉体作りは本当にすごかった。私も新日本プロレスの試合を勉強のために1回見に行ったのだが、何より驚いたのは彼らのパワーではなく持久力である。マシンて鍛えた筋肉ではなく、そのまま格闘技に使えるナチュラルで分厚い筋肉を持つ100キロを超える選手たちがなんと40分から50分試合をするのである。新日本プロレスはやはり相当強かったのだと思う。私が見た試合では、当時のアームレスリング世界チャンピオンスコット・ノートンが登場した。その人間離れしたパワーに私は酔いしれた。やはり格闘技はパワーだよなと思ったものだ。

余談が過ぎたが私は桜庭和志の姿とRENAの姿が重なったのだ。桜庭和志がグレイシー一族の3番目の刺客ヘンゾ・グレイシーと戦った時見せた技だ。

スタンディングの状態で後ろからホールドされて、相手の腕をアームロックの形に持っていったまではRENAと全く同じプロセスだ。この時代からこの技術は確立されていたことがわかる。

桜場が違ったのはそこから腕をひねり上げ

極め投げして

押さえ込み アームロックに決めてしまった。この時私はリアルタイムでテレビ放送を見ていた。おそらく練習してきた技ではあろうが、こんな技は見た事が無い。極め投げは主に合気道などで多用される技で、かけられる方がこれほど恐怖心を感じる技も少ないだろう。極められて、投げられる瞬間、肩周りの骨がぐちゃぐちゃに折れるのを想像してしまう。合気道では受け身を鬼のように練習して、極まるより前に自分で回転して、力を逃し、骨折を避けるが、極め投げの専門家である彼らでさえも、偶発的に腕を複雑骨折してしまうことがあると言う。

グレイシー一族の誇りはたとえ腕をへし折られても関節技ではタップしないと言うことだったが、おそらくヘンゾ・グレイシーの心は投げられた瞬間に折れていたと思う。あっさりとタップした。

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