総力特集 RIZIN15(23) 〜那須川天心のボクシングテクニックの飛躍的向上

そして次にまた天心がとんでもないことをやらかす。最初から気づいたわけではないので、私が気づいた順に時間を追って話そう。

ビアグタンの右ストレートに対して、天心はもうボディへのカウンターの態勢に入っている。この技だけでも何千回と練習したのだろう。だからといって実戦でできるものでもない。

    ボディへのカウンターが見事に決まり、ビアグタンのストレートは失速してしまう。そもそも狙ってカウンターを打つと言うのはとんでもない高等技術で、しかも相打ちになることも多い。しかし、天心のカウンターはほとんど相打ちにならず一方的に相手に凄まじいダメージを与えるのだ。こんな人間離れしたことができる理由は、天心が歩んできた格闘技人生にあると思う。まず、天心は12歳までに極真空手をみっちり学んでいる。私に言わせれば、天心はキックボクサーではない。随所に極真空手の技が見える。かと言って空手家でもない。適切な表現方法があるとすれば那須川流なのだ。この後、ムエタイを5階級制覇し、打撃系格闘家が最低限、身に付けるべき総合格闘技への対処法を身に付けたならば、日本に那須川流という新しい格闘技が誕生することだろう。その頃は私は60位になっているだろうが、那須川流に入門したい。

またまた話がそれてしまったが、英語の完璧な発音を身に付けるためにはある程度の幼少期から始める必要があると言う。

私の持論であるが、最初に始める格闘技として、1番適しているのが極真空手である。まず技術体系がしっかりと確立されているし、ボディーを打ち合うことによってあらゆる格闘技の基盤になる体感を鍛えて、中心立勢を保つことを学ぶことができる。そして何よりも大事なのが、極真カラテは頭部への打撃が蹴りだけに限定されているので、若い時代に脳を損傷することを避けることができる。幼少期から12才〜14才今までは極真空手を学んで、ある程度体がしっかりしてきたから、特に頭を支える骨と筋肉がしっかりできてきてから、キックボクシングに転向するのが望ましいと思う。そしてもちろん、若い時期は脳への損傷を最小限にとどめるために、ヘッドギアと16オンスから12オンスのグローブ着用は絶対条件だ。そうやって完璧な環境を整えなければ、那須川天心のような天才は絶対に生まれないと思う。

ボディーへのカウンターの話に戻るが、この技はそれ以上の技だったのだ。以下は違う角度から見た画像である。前の角度からは見えなかったが、天心はボディへの左ボディーを右手で抑えている。

左ボディを右手で押さえながら、ビアグタンの右ストレートに対して左ボディでカウンターを取っているのである。

 

ボクシングの世界戦でもそうそうは見られないような超高等テクニックである。これは中国拳法では割とよく練習する基本的な技で、防御と攻撃を同時に行う、攻防一致と呼ばれる。しかし、理論を知っているのと実際に行うのとでは天と地ほどの差がある。

もう1つ思ったのは、この技は、天心が対メイウェザーに練習していた技なのではないかと言うことだ。メイウェザー戦を通して、天心がボクシングに興味を持ったことや、ボクシングから多くを学んでいる事は間違いないと思う。ボクシングの技術の多く、特に防御技術。ダッキング、ウィービング、パーリングはボクシングルールでは非常に有効なのだが、キックボクシングで使うのはかなり危険だ。何より厄介なのは、私もボクシングテクニックを研究した時期があったのだが、練習したり、試合で使ったりしていると、空手の試合やキックボクシングの試合でもついつい出てしまう。試合後にあなたはどちらの流派ですか?と不思議そうな顔で何度か聞かれたことがある。

逆にブロッキング、スウェーバック、ヘッドスリップはほぼそのまま、キックボクシングの試合でも使うことができる。

何を言いたいかと言うと、本来ボクサーとキックボクサーの試合と言うのは、タブーなのだ。ボクシングルールでやればボクサーの方が有利すぎるし、キックボクシングルールでやれば、ボクサーには不利を通り越して命の危険さえ出てくる。例えばうっかりパンチをウィーヴィングでかわして、そこにカウンターでハイキックをもらったりしたら、考えるだけでも恐ろしいが頸椎に何らかの損傷が生じる可能性が大きい。

だから那須川天心が超一流ボクサーと戦う場合、ボクシングルールで戦い、負け続けると言うシナリオしかないのだ。ただ、天心なら不可能を可能にしてくれるのではないかと言う一縷の望みを感じる。今回天心が見せた攻防一致の技は対ボクシングの一縷の望みのように感じた。

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