総力特集 RIZIN15(26) 〜堀口恭司: 伝統空手と総合格闘技の相性

堀口恭司 vs. ベン・ウィンの試合解説をする。

まず、軽く予備知識として伝統空手と総合格闘技の相性の話からする。UFC発足当時、フルコンタクト空手家が挑戦し、次々に敗れていった。アメリカでは空手の評価が著しく下がった。所詮、空手最強と言うのは幻想に過ぎなかったと言う評価さえあった。その中で意外にも実力を発揮したのが伝統空手であった。

UFCで伝統空手の評価を確実な物にしたのが、リョート・マチダである。リョート・マチダは、ブラジルの男性総合格闘家。父は日本空手協会に所属し、松濤館流空手を体得した町田嘉三氏である。町田嘉三氏はブラジルのアマゾン川河口の町パラー州ベレンに空手道場を開いた。リョート・マチダは父の下で4歳より稽古した。

総合格闘技で通用するファイターの共通点として、もちろん例外もあるが幼少期から何か1つしっかりとした格闘技を学んでいることが挙げられる。つまりベースを持っているということである。

もう一つ、ベースとなる格闘技を持ちながらも、総合格闘技に対応するべく、何らかの対策を講じているというのも総合格闘技で活躍しているファイターの共通点だ。

今でこそ、完全に総合格闘技と言うジャンルも技術体系を確立されたが、黎明期は何らかの格闘技のベースを持つものが、総合用にトレーニングを積んで試合に臨むと言うのが一般的だった。

今では総合専門というか総合ばかりやってきたと言う選手も多くなった反面、やはりベースに何らかの格闘技を持っている選手も依然多い。ここら辺の多様性、依然として異種格闘技戦の様相を失っていないところが総合格闘技の魅力だと思う。

リョート・マチダは10代から相撲やブラジリアン柔術も習得、またムエタイ、レスリングの手ほどきも受けていた。空手では2度のブラジル王者、南アメリカ選手権での準優勝などの実績を持つほか、様々な格闘技大会で優勝を重ねていた。

自分の流派こそ最強と言って、他から学ばないのではなく、自分の流派に足りないものを貪欲に他流派から吸収する。この姿勢こそが最強への道であることを総合格闘技ははっきりと示してくれた。

リョート・マチダは2009年5月23日、UFC 98でUFC世界ライトヘビー級王者ラシャド・エヴァンスに挑戦。総合格闘技無敗同士の対戦となったこの王座戦で2Rに左フックで失神KO勝ちを収め、王座獲得に成功すると同時に2試合連続のノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。試合後のインタビューでは「Karate is back!!(空手が復活したぜ!)」と雄叫びをあげて、自身のバックボーンである空手への誇りを言葉にした。リョート・マチダはまさに空手の誇りを取り戻してくれたのみにあらず、日本では所詮伝統空手はフルコンタクト空手には勝てないと言う常識さえもひっくり返してしまった。実際に伝統空手は非常に強い。

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