総力特集 RIZIN15(28) 〜堀口恭司: シンプルにして必殺。リョート・マチダの松濤館流空手

大山館長の頭の中には、大会の上位入賞者による他流派への挑戦があったはずだ。実際極真カラテは初期において何度も何度もムエタイに挑戦している。

ただ、極真空手には果たすべき大目標があった。つまりこの完成された素晴らしい極真カラテを世界に広めることであった。この努力によって、世界中に1千万人と言われる極真空手家が生まれた。

言っておくが私は極真空手が大好きだし、極真空手にまだまだ無限の可能性を感じている。だからこそ、現実は現実として受け止めればならない。大山館長はリアリストだった。そして松井館長も動き始めた。大山館長の最初の理想に近づけるためにルール改正に着手している。

極真空手が世界に認知された今だからこそ、極真空手は今のスタイルを守りながら進化しなければならない。松井館長の挑戦は静かにしかし確実に進められている。アンディ・フグ、フランシスコ・フィリオの果敢な挑戦が極真空手進化の糸口を示してくれたと思う。また、今、松井館長はフルコンタクトルールの改新と並行して、極真に伝統空手ルールを取り入れようとしている。おそらくこれには2つの目的があって、一つは極真からオリンピックに選手を送りこむため、もう一つは極真の間合い問題の解決のためだと思われる。

極真空手のこの2つの改革により、極真空手はより空手の原点に立ち戻り、極真空手家は極真空手家のままキックボクシングのリングにも、総合格闘技のリングにも立てるようになるだろう。そして再び世界最強の空手が復活する。

さて松濤館流の遠い間合いに話を戻す。松濤館流の必殺技は遠間から踏み込んでの高速上段突きで、これを中心に技が組み立てられる。

伝統派空手のトップファイターだある国分利人選手など、今の伝統派空手の試合は左前のオーソドックススタイルから繰り出す右の逆突きが主武器になっている。

リョート・マチダはこの技術を自由自在に使いこなしている。リョート・マチダの場合、左構えも右構えもありで、場合に応じてスイッチ。ボクシングやキックボクシングではスイッチファイターはあまりみないが、空手では時々見られる。極真空手ではよく、スイッチしてからの蹴りが見られるが、基本的にそれと似た同じ技術だと思う。

左構え、右構えそれぞれからの上段順突き、上段逆突き、ワンツー、足払いのような下段蹴りが右も左もあり、自分から飛び込む場合と呼び込む場合があって、実際の技数はそんなに多いわけではないのに対戦者からすると非常に技のバリエーションが多いように見えるのが魅力的である。

私は武術はこうでないといけないと思う。技の構成はシンプル。しかし、相手から見ると何が来るのかわからない。技の完成度が高く、1発1発が1打必倒の破壊力を持つ。

不器用なものでも、才能のないものでも、真面目に積み上げれば強くなれる。武術とはそういうものであって欲しい。

コメント